君を輝かせるのは私だけ。
「ほんと、人変わるよな。目が据わってる。味方が決めたら笑うけど試合間はまじで怖い!」

お腹抱えて笑う健さん。

うん、たしかにラリーが続いてるあおの顔は真剣そのもの。

というか、余計なもの全て排除して全神経がコート上に向けられてる。

でも仲間が決めた時の弾ける笑顔は日常ではお目にかかれることはほぼないに等しいから、

すっごくレアだし可愛い。

…可愛いし、綺麗。

今までなんとかあおをメディアから遠ざけてきたけど…

この活躍にあの顔じゃあもう難しいだろうなぁ。

苦笑いしてしまう。

「あれ、あいつ今日見にきてたのか。ちょっと俺行ってくる。」

健さんの視線を追うとトオルさん。

げっ、

こんなキラキラ輝くあおをあの人に見せたくなかった…

いや、いずれどこかで見るだろうけどさ…

………いや嫉妬してる場合じゃない。

試合に意識を戻そうとした時、

『やぁ、祐真』

聴き慣れた日本語でないそれに振り返ると、

向こうのチームメイト。

「え、どうしたの」

『いや、君が自慢ばかりするガールフレンドを見に来たんだが…化け物だね』

「化け物なんて例えはやめてよ、勝利の女神なんだから!」

俺の答えにチームメイトは笑う。

渉は同じ国にいたから少しは聞き取れるみたいで俺たちの会話を聞いて、一緒に笑ってる。
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