君を輝かせるのは私だけ。
全て終わって、アリーナからロッカールームに移動する。
ずっと後ろに引っ付いてた彼は、
私の足に負担がかからないように、
腕をお腹あたりに通して少し持ち上げてくれていたことに彼が離れた時、気づく。
少し離れてすぐに戻ってきて、
また横に立つ。
今度は腕を広げて待つ祐真さん。
「もう、大丈夫だよ。」
その言葉に、
「見えてない?」
と返す。
彼はゆっくり頷く。
「もう観客の人には見えてない。よく頑張ったね、あお。あとは任せて。」
その言葉を聞いて、
張り詰めていた全てのものを手放す。
やっと、
やっとゴールに辿り着いて、
ようやく気を抜いていいんだ。
走り抜けたんだ。
そこからのことはもう一切覚えてなくて、
次に目が覚めた時には、
またあの階段から落ちた日と同じ景色だった。
白い天井。
点滴に繋がれた手。
…やり終えたよね?
記憶が曖昧で、
また重たい瞼が落ちてきて、
そこからまた眠りにつく。
ううん、覚えてる。
祐真さんが、もう大丈夫って言ってくれたんだった。
少しだけ休憩しよう。
夢のために今日まで動き続けてくれた私の身体、どうもありがとう…
本当にありがとう。