君を輝かせるのは私だけ。

週末、待ち合わせ場所は新幹線の改札前で。

少しキッチリした格好で健さんをまつ。

視察かもしれないしできればキッチリした格好の方がいいよな、とこの格好をしてきたのは間違いかもしれない。

…視線が痛い。

健さんまだかなと辺りを見渡すと頭ひとつ出た健さんの姿が少し遠いところで見えてホッとする。

だんだん近づいてくる健さんは隣の誰かと話してるみたい。

監督も同行すんのかな。

あ、目が合う。

こっち、と手を上げると、

健さんの後ろから俺が会いたかった人が顔を覗かせる。

「あお…!」

もうだいぶ近くまで来ていたあおは、その声に目を見開いて、周りを確認して、

少し困ったような顔をする。

…そっか、人混み。

この前の一件でもそうだけど、

これからあおは理不尽な悪意を向けられることが増えてくるだろう。

その要因を自分が作らないようにしないと。

「おはよ。綺麗目な服できたな、感心感心。」

健さんが挨拶をしながらいう。

あ、やっぱり綺麗目な服でよかったんだ。

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