カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
お砂糖まみれの大惨事を免れて、清良は内心ホッとしていた。

まぁお砂糖はともかくとして、陶器のポットが直撃したら怪我をしていたかもしれない。

「鞠花、落ち着いて……!」

「離してよ!」

北村が身体を張って鞠花を止めようとするが、女性相手に男の力を使うわけにもいかず、暴れ回る彼女にあっさりと弾き飛ばされてしまう。

「なんで! よりにもよって、あんたが城ケ崎さんと……!」

どうやら鞠花は招待状の送り主が城ケ崎総司だと知らなかったらしい。

知っていたら自分で行ったわよ!と怒鳴りつけられたのはついさっきのこと。

総司と面識はなくとも、その美貌と肩書きについては聞き及んでいたらしく、自分の顔を売るチャンスを狙っていたのだとか。狙うは当然、玉の輿。

それにしても、鞠花は招待状の送り主も確認せずに他人へ託したのだろうか。

彼女のいい加減な性格は今に始まったことではないが、さすがの清良も呆れた。

ちなみに、総司との馴れ初めについては『歌劇場を出たあと、外でたまたま彼と出会って意気投合した』と伝えてある。

成り代わったことがバレたとは伝えていないし、もちろん鞠花の父親である院瀬見議員にも伏せられている。
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