【修正版】午前8時のシンデレラ
社長は瑠偉さんの叔父だけど、あまり似ていない。
ハンサムではあるが、歌舞伎俳優のようなすっきりとした純和風な顔をしている。
お願いです、社長。
何も触れないで下さい。
私の事は空気と思って下さい。
祈るような気持ちでチラリと社長に目をやる。
だが、私のちっぽけな願いは叶えられなかった。
「おはよう。あれ、瑠偉と東雲さんは一緒に来たの?」
やっぱり聞かれた。
駐車場のエレベーターから一緒ならそう考えるのが普通だ。
「歩いていたら車できた一条さんに……!」
乗せて頂きましたって言おうとしたのに、突然瑠偉さんが私の口を押さえた。
何するんですか!
キッと瑠偉さんを睨むと、彼はあの悪魔な微笑を浮かべた。
「うちから一緒に来たんですよ。叔父さん意味わかりますよね?もう見合いはいいですよ」
見合い?
ひょっとして社長からいろいろ話があったのだろうか。
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