【修正版】午前8時のシンデレラ
彼の言葉にどう反応していいかわからない。
この会話はどこへ向かおうとしているの?
少し怯えるような目で一条さんを見ると、彼は急に話題を変え、手前にある席を指差した。
「東雲さんの席はそこだ。早速だけど、明日このメンバーの役員を集めて一時間程打合せをしたい。定時内なら何時でもいい。調整は任せる」
「一条、もうそろそろ出ないと時間がない」
佐久間さんが腕時計をチラチラ見ながら一条さんに声をかけると、一条さんは佐久間さんをチラッと見て「ああ」と返事をしてまた私に視線を戻した。
「慌ただしくてごめん。じゃあ東雲さん、今日はとりあえずうちの雰囲気に慣れてくれればいいから」
一条さんは、ただ微笑む。
この微笑がもたらす効果を、きっと彼は知っているに違いない。
「……はい」
自然と返事をしてしまう。
魂が持って行かれる気がした。
だが、私はもっと彼の極上の笑みを知っている。
あの夜、彼は心から笑ってくれた。
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