【修正版】午前8時のシンデレラ
何も記憶がない訳じゃない。
全てはリアルな夢だと思った。
昨日……十一月中旬の日曜日、親友の結婚式があった。夕方に行われた披露宴の後、二次会には参加せずホテル最上階のスカイラウンジでカクテルを飲んで……それで彼が現れて一緒に飲んで……。
そして、一緒に寝たに違いない。
お酒を飲んでいたせいかどこか夢見心地だった。
多分、ここはホテルの部屋だろう。
百平米はありそうな広い部屋にキングサイズの大きなベッド。
壁もベッドもシックで落ち着いた部屋で、私が住んでいるぼろアパートと違って他の部屋の物音もしない。
記憶がところどころ途切れてるけれど、全部本当だったんだ。
お互い名乗らず、自然にキスをして、そのまま身体を重ねた。
そんなドラマみたいなことが私の身に起きるなんて……。
初めてのキスは温かくて、柔らかくて、とても優しくて、ふわふわした綿菓子を食べているようなそんな気分だった。 
男の人の唇があんなに柔らかいなんて初めて知った。
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