*・.・* 時間旅行 *・.・*
「それで?
俺の声をかけた女の子が訳ありだって?」

お兄さんに聞かれて『はい。』とは言ったものの

俺は藤堂の家庭の事情も

本当に外部受験をしたいと思っているのかも知らない。

オープンキャンパスは……

中学生ということもあり

殆どの子が、保護者と来ているらしい。

おまけに、お兄さんの学校はレベルが高く

受験の下見をする学校は、だいたい決まっている。

そんな中。

お嬢さんお坊ちゃん学校で有名なウチの制服が目に入り。

教師間でもちょっと噂になった。

尚人の学校の生徒ということもあり、お兄さんが声をかけると。

メモを熱心に取っていた彼女は、びっくりして飛び上がったと。

高等部に弟が教師をしてると伝えると

『青葉学園中等部の藤堂夏生です。』と挨拶し

『偏差値が高く、受験は大変そうだけど。
自由な校風で、明るい学校の雰囲気が素敵だなって思いました。
寮もあるから………安心だし。
頑張れば、交換留学で海外の生活ができ
魅力がいっぱいです。』と言ったと………。

青葉学園は、中高一貫教育の学校のはずだと思い

『エスカレーターで高等部に上がらないのか?』と聞くと

『中学を卒業したら、家を出て生活したいと思っています。
保護者にこれ以上甘えられないから。』と答えた。

家族とも

親とも言わず………『保護者』と言ったのが気になった。

………と言われた。

確かにそうだ。

もともと、理事長の孫ではなく『隠し子』だと噂がある。

本人にも

もちろん、理事長にも確かめる事は出来ないが………

その辺りと関係が有りそうだ。
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