がんばる私 と 見守るあなた
 緊急事態宣言が解除された! これでようやく、県をまたいでの移動ができる。長かった。本当に長かった。

「りっくん、金曜日、仕事が終わったら、会いに行っていい?」

私は恋人の(りく)に早速電話を掛けた。

『俺が会いに行くよ。悠亜(ゆあ)は、部屋で待ってて』

「そう? じゃあ、待ってる。外食はまだ控えた方がいいよね? 私、うちで晩ご飯作ってるね」


 毎日、電話で話しているとはいえ、りっくんとは、もう2ヶ月近く会ってない。

 私たちは、大学時代のバイト先が一緒で、その頃からずっと付き合っている。でも、りっくんは、卒業後、実家のある隣県で就職をした。だから、いつも週末にどちらかが会いに行く。なのに、今回の感染症対策のため、県をまたいでの移動が制限されてしまったのだ。

 もちろん、そんなの関係なく移動している人もいる。でも、私は保育士。万が一、感染した後、県をまたいで移動していたことが分かったら、どれだけ叩かれることか。さらに、それで、子供に感染させたら、保護者からのクレームで職を失うかもしれない。だから、私たちは、律儀に自粛を続けてきた。

 だけど、これでようやく、りっくんに会える。私は、早速、週末の献立を考え始めた。




 
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