■王とメイドの切ない恋物語■
「トーマ様。昨日は、本当に申し訳ございませんでした」


急だったので、他に言うことが思いつかなかった。


緊張するよ。だって、相手は王様だよ?


「昨日のことはもういい。私が王で驚いただろう?」

私は小さく頷いた。

そりゃもう、すごくびっくりしたよ。

だってこんなに若いのに、王様だなんて思わないもの。

何か理由があるのだろうか?

お父さんはどうしたのだろう?

私が考え込んでいると、トーマ様は、優しげな眼差しで私を見つめている。


こんな、かっこいい人に見つめられたら、クラクラしちゃうよ・・・。

どうしていいか分からなくなり、私は頬を赤らめうつむいた。

「今度、ゆっくり話をしよう。」
「え?」
「じゃあ、また」

トーマ様は少し微笑み、去っていった。


今度ゆっくりって2人で話そうってこと?

それはないか・・。私は、ただのメイドの1人だもんね。


でもこうやって、トーマ様とお話できてよかった。

やっぱり優しそうな人っていうのが、わかったから。


私は、少し嬉しい気持ちになり、仕事に戻っていった。
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