■王とメイドの切ない恋物語■

お泊り

その後、私は専属メイドをジュリアと交代し、普通の生活が戻ってきた。

たまにジュリアとラノス様を見るけど、すごく仲がいい。

2人とも明るくて活発だから、波長が合うのかもしれない。

私は仕事を終え、みんなに見つからないように気を付けながら、トーマ様の部屋に向かう。



ノックすると、いつものトーマ様の声が聞こえてきた。

中に入ると、トーマ様が本を置き、笑顔で近寄ってくる。

私も笑顔になった。

「トーマ様、会いたかったよ」

「俺もだよ、リリア」

こうして2人で会うのは、5日ぶりだ。

あの日から、もう5日もたったんだね。

本当は、毎日会いたいけど、お互いの時間が、なかなか合わない。

「今日は、ゆっくりできるんだろ?」

トーマ様が、優しく聞いてきた。

「うん。明日は遅番だし、夜更かしオッケーだよ」

「俺も、明日の会議、午後からだから、ゆっくりできるよ」

嬉しい。

2人ともが明日、ゆっくりでいいっていうの、初めてじゃないかな?


トーマ様と、少しでも長い間一緒にいたいから、すごく嬉しい。

私にとって、トーマ様と過ごす時間は、1分、1秒が、とても大切だもん。


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