小悪魔王子に見つかりました
寧衣くんのヤキモチ

寧衣side


「まさかお姫さま抱っこでここまでくるなんてね〜」

保健室について。
養護教諭の先生が浅海さんの膝を消毒しながらそう言った。

正直自分でも、自分があんな大胆なことするなんて思わなかったから驚いてる。

「青春ね〜羨ましい!はい、これで完了!」

そう言って浅海さんの膝を覆う大きめの絆創膏を貼った先生に、彼女がお礼を言って立ち上がる。

「でもほんと、最上くんの言う通り、無理しちゃダメよ?浅海さん。これは絶対痛かったな決まってるんだから」

「……っ、はい、すみません」

反省してるのか、体を丸くして謝る浅海さんが可愛すぎて、

その小さな背中を今すぐ抱きしめたい衝動に駆られる。

浅海さんのこと見てたら気持ちが膨れ上がるから、慌てて先生の話に意識を向ける。

「今回は軽症だったからよかったものの。若いからって無理しちゃだめ。もし足捻っててそのまま走ってたりしたらそれこそ悪化するんだから」

「はい……」

「最上くん、ほんとすぐに連れてきてくれてありがとうね」

「いえ」

「はい、じゃあもう2人ともさっさとお昼食べてきなさい」

「……はい。ありがとうございました」

「失礼しました」

先生に促されて、すぐに保健室を出ようと扉に手をかけたら、

「あ、あと、」

先生がふたたび声を出して、満面の笑みでこちらを見た。

「ふたり、すっごくお似合いだと思うよ」
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