小悪魔王子に見つかりました

キスをして、何度も好きと言ってくれたあれは?

体が震えて汗が止まらなかった。

確かに俺は、初めは彼女に対して好意はなかった。

それでも、その笑顔を守ろうと、幸せにしたいと思っていたのに。

こんな俺を好きになってくれて嬉しいって。心の底から思っていた。

全部嘘だったのかと思うと、もうこの世界のなにも信じられなくて。

『隆一くん、私が浮気したってキレてるけど、される人にも原因あるんじゃないの?私のこと満足させられなかったくせに、自分のこと棚にあげすぎでしょ』

『そりゃほかの男の子にも少し触れたくなっちゃうって。ヨウくんって性格クズだけど一緒にいる時はたくさん私のこと可愛がってくれるし』

あー俺もこうなるべきだったのかな、正直者はバカを見るってこういうことか、

泣きそうとか悔しいとかそんなことよりも、もうどうでもいいやって。

だんだん熱が引いていった。

真剣に向き合おうとするから苦しくなる。

じゃあ、俺ももっとテキトーに人と付き合ったほうがいいのかもって。
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