イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
翌日の夜、母から父の会社の上司のご子息との縁談は無くなったという連絡が来た。
やはり、専務の名前をだしたら、父の上司も文句は言えなかったらしい。
だけど、母に念を押された。

『後で「うそでした」はないからね』

「わ、わかってるわよ」

と強気で答えたものの、母にバレないか心配で仕方がない。

『そうそう、神谷さんて好きな食べ物は?』

「え?」

『え? じゃないわよ。ご挨拶にくるんでしょ。好きな料理でもてなしたいじゃない。あなた彼女でしょ。彼氏の好物ぐらい知ってるわよね』

知ってるわけないじゃん。
っていうか恋人だとこういうことも知っておかなくちゃいけなかったんだ。
どうしようなんて答えようかな。

「か、唐揚げ?」

『なんでそこ疑問形なのよ。唐揚げね。わかった』

私の周りで唐揚げの嫌いな人はいなかったから適当に答えたけど……。
確認しなくちゃ。
それにしても一体どうなるんだろう。
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