ふたつの羽根
戸惑っていたあたしは身体が密かに震え足を後ろに引いた。
ガンッ―…
鈍い音が走った後、あたしの身体は飛び上がり、足元を見るとアルミ缶のゴミ箱が倒れていた。
その拍子に陸と拓真先輩は同時といっていいほどに、あたしの方へと目を向ける。
えっ、どうしよう…
「里奈…」
大きく目を見開く陸とは逆に拓真先輩は深く息を吐き、顔をしかめる。
その光景を目にしたあたしは目線を逸らし、階段の方へ身体を向ける。
そして、そこには思いがけない光景が、また目に飛び込み、あたしは目を見開く。
「…田上」