俺様社長と溺愛婚前同居!?

 一体何をされるのだろう、と思っているうちに、彼の顔が近づいてきた。

 え、ええ……っ。近すぎない……?
 怯えて目を閉じる。

 ――ちゅっ。

 
 え?


 一瞬何が起こったのか分からず、動けなくなった。

 唇に感じる、温かくて柔らかな感触。

 唇が離れても、まだお互いの息がかかりそうなほど近くにいる間は顔を上げられなかった。
 それなのに鴻上さんは、いつもの攻撃的な口調で話してくる。


「おい、高梨結花。何とか言え」


 そ、そんなこと言われても……!

 今、何が起こったんですか?

 これは何ですか?

 ドッキリ?

 からかわれた?

 様々な疑問が浮かぶけれど、何から聞いていいか分からない。


「あ……りがとうございます……」


 咄嗟に出たのが、感謝の言葉。

 違うの、これは!

 食べてくれてありがとうっていう意味で、キスにありがとうって言ったわけじゃない。

 どうしよう、どうしよう、と慌てふためく私を見て、鴻上さんはぷっと噴き出した。


「お前のこと、気に入った」

 どうやら私、取引先の社長さんに気に入られた? みたい。

 よかった……のかな?

 うん、よかったんだ。嫌われるより、好かれているほうがいい。

 とりあえず、このまま契約は継続してもらえそうだから、よかったんだよね。

 ほっと胸を撫でおろしていると、彼の話がまだ続いていた。


「俺と結婚しろ」


 結婚……?
 けっ……結婚!?

 結婚ーーーー!?!?!?
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