極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

 「何とか言えよっ」
 「……」
 「黙りかよ。まぁ、そんな表情を見れば、一発でわかるけどな」
 「………それは………」
 『……………椿生?どうしたの?』

 繋がれた彼の手の力が強くなる。
 畔は彼を見上げると、そこには見たこともないような苦しそうな表情があった。
 そして、少し顔色も悪い。
 畔が彼に触れようとした時だ。

 「畔、そんな奴から離れろっ!」
 『っっ!』

 突然、叶汰は畔の手を掴み強く引っ張った。
 その拍子に持っていた買ってきた食材が入った袋が床に叩きつけられる。
 畔は驚き、叶汰に向けて手話で強く抗議する。

 『叶汰っ!何をするの?何でそんなに怒ってるんの?』
 『おまえ、いつまで騙されてんだよ……』
 『騙されてる?何を言って……』
 『こいつは、神水製薬会社の社長なんかじゃないんだよっ!神水椿生じゃない、全くの別人なんだっ』
 『………ぇ………』

 叶汰は大声を出したのだろうか。
 畔の体に振動が伝わってきた。

 けれど、それが自分の心臓の震えだとわかり、叶汰の言葉に動揺しているのがわかった。

 畔は頭では上手く理解できず、大切な恋人の方を向いた。けれど、その瞬間わかっていまったのだ。
 
 椿生とは目線が合わず、彼は畔から目を逸らし横を向いていた。
 そんな椿生を見ればわかってしまうのだ。


 叶汰が言っている事は真実なのだ、と。
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