極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

 『ねぇ、名前呼んで?』
 「つばき?」
 『もう1回』
 『もうー!名前呼び始めると止まらないんだから』

 畔が椿生の名前を呼ぶのを彼はとても嬉しがってくれ、1日に何度も要求してくるのだ。

 『歌以外で君の声を聞けるのは俺だけの特権で、しかも名前なんて嬉しすぎるから』
 『ずるいです!私ももっと名前呼んで欲しいです』
 「ほとり………。好きだよ」

 突然、手話もなく、そして愛の言葉を伝えられ畔は驚き、顔を赤くした。
 そして、畔も小さく息を吐く。

 「つばき……すき……だいすきよ」
 「……っっ………」
 
 畔のぎこちない言葉。
 けれど心がこもった大切な声。
 椿生は息を飲み、そしてとても嬉しそうに微笑み畔を抱きしめた。

 『畔………こんな風に伝えるつもりはなかったんだ。けど、今の気持ちを伝えるよ』
 『え?椿生どうしたの?』

 いつのなく真剣な彼を見て、畔はドキッとしてしまう。椿生は畔の頬に触れた後、愛しい物に触れるように目を細めた。

 『俺と結婚して欲しい。俺の花嫁になって欲しいんだ………』

 今度は畔が息を飲む番だった。
 突然のプロポーズ。きっと彼も今日伝える予定ではなかったはずだ。引っ越しの荷物で溢れた部屋で、ニュース番組が流れている。ロマンティックではないかもしれない。

 けれど、畔の声を聞いて、椿生が感動してくれたのだとわかると畔は涙がこみ上げてきた。
 もちろん、幸せすぎるからだ。

 畔は彼に抱きつき、「つばき」と何度も名前を呼んだ。その声は初めて名前を呼んだ時のような悲痛な叫びではない。
 幸せの声だった。

 
 これからの日々は大好きな人が傍にいてくれる。とても幸せで心地のいい時間になるだろう。

 音のない生活。
 だけども、とても彩り豊かで、心が明るくなる時間。
 そんな時を椿生となら歩んで行ける。

 畔はゆっくりと目を瞑り、海のさざなみの音を思いだし、頭の中で音符を並べる。
 海のほとりの2人の未来も、きっと幸せでありますように。そう強く願った。

            (おしまい)


☆後書きはファンメールで送りますので、そちらをご覧ください!
< 150 / 150 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:21

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

罪人とお嬢様の甘くて危険な恋を

総文字数/6,295

恋愛(純愛)7ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「溺愛旦那様と甘くて危険な結婚生活を」の続編である第3作品。 元麻薬組織でハッカーの仕事をしていた蛍(ほたる)は、罪を償った後に警視庁で働いていた。 普通の生活が送れるようになった時に、大きな街にかかる高い歩道橋の上に乗って景色を眺めている女を見つける。声を掛けても無視をする自分よりも年下だと思われる女の横顔は、どこかで見たことがあるものだった。 あの時、傷つけてしまった彼女と同じ苦しそうな顔だった。 何とか歩道橋から降りてくれた女と蛍は、少しずつ距離を縮めていく。 本当の愛を知らない女と愛を失う怖さを恐れている男との出会いが、2人をどう変えていくのかーー。
溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を

総文字数/152,799

恋愛(純愛)223ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
花屋の店員である花霞(かすみ)は、元彼氏と最悪な別れをしてしまい、雨の中路頭に迷っていた。 そんな時に声を掛けてきたのは長身細身の優しそうな男、椋(りょう)だった。 椋が提案したきたのは、思いもよらない事だった。 恋から始まらない結婚生活をすぐに終わらせるはずだったが、優しくてそして秘密がある彼が気になり始めてしまい………。 危険が香りがする男の魅力を感じませんか? ☆音葉 花霞(おとは かすみ)28歳 花屋スタッフ ★鑑 椋(かがみ りょう)31歳 エリート警官 ★☆★素敵なレビューありがとうございます★☆★ shima-mama様 ayaaaka様 レビューのお返事は、感想ノートでさせていただいております。
花筏に沈む恋とぬいぐるみ

総文字数/107,807

恋愛(純愛)147ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
橋の上からクマのぬいぐるみが落とされた。 それを見た瞬間に、花(はな)は川に花筏が浮かぶ橋に飛び込んでいた。 橋からぬいぐるみを落としたのは、ぬいぐるみ作家の凛(りん)という男性だった。 それは花が探していた人物であった。 「四十九日の奇」が花と凛の出会いを生んだ。 ミステリアスな凛とぬいぐるみ。綺麗なものが嫌いだという花は、彼らの素朴な優しさと穏やかさにひかれていくが、凛には大きな秘密があって。 死後49日だけ現世に表れる奇跡が起こる世界のお話。 乙瀬 花(おつせ はな) 23歳 綺麗なものが大嫌いでお金が大切。今は仕事を休んでいるが、高級ブランドone sinで働く事が決まっている。家で見つけたぬいぐるみについて調べるために、凛の店を探していた。 神谷 凛(かみや りん) 32歳。ぬいぐるみ店「花浜匙」の店員。明るい性格で、人懐っこい。 クマ様 花浜匙で作られたクマのテディベア。服にこだわりがある。落ち着いていて、ミステリアス。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop