極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

 夏祭りを楽しんだ後。
 高台を降りた後もしばらく手を繋いで歩いた。
 椿生が手を離してしまうのではないかとドキドキしてしまったけれど、いつまでも彼の体温が離れてしまうことはなかった。

 街明かりが強くなった頃、椿生は足を止めた。

 『ノートは君が持っていてくれるかな。次に会うときに持ってきてくれる?』
 『いいんですか!?ありがとうございます』

 このやり取り見返す事が出来ると思うと、畔は飛びはねて喜びたくなってしまう。畔はノートとペンを預かると大切そうに胸に抱きしめて、椿生に頭を下げた。 

 『次は、ドライブに誘うよ』
 『………今日はありがとうございました。また、楽しみにしています』

 到着したタクシーに乗る直前、次のデートの約束を交わした。
 次はすぐにやってくる。けれど、少しでも離れてしまうのが寂しい。
 世間の恋人というのは、こういう寂しさを毎回感じているのかと思うと、切なさと同時に苦しさを感じる。


 ハダンッとドアが閉じられ。ゆっくりと彼が遠くなっていく。優しい笑みで手を振る椿生を、畔は見えなくなるまで見続けたのだった。

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