仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
「お邪魔しました…」

床に臥せていた母も、私達のめでたい話を訊きつけてベットから復活し、周防さんを玄関先で見送った。

彼の帰宅後は二人揃って上機嫌に私を褒め始める。

「亜優…周防副社長と交際してるなら一言ぐらい…言ってくれ」

「周防さんには口止めされていたので、話が出来なくて…すいません…」

「・・・これで…工藤家と周防家は親戚ね…貴方…」

「長谷川家以上だぞ…でかしたぞ…亜優」

周防さんとの結婚で私の立場は大きく一転した。

親不幸な娘から超親孝行な自慢の娘に昇格する。


部屋に戻り、バックの中に仕舞っていたスマートフォンを取り出す。
先ほど、別れた周防さんからの『LINE』メッセージ。

『俺も君のおかげで仕事に集中できるよ。君も安心して眠るといい』

私には烏滸がましい相手。

私達は互いの利益の為に一緒になる。私達は仮面夫婦・・・



< 33 / 121 >

この作品をシェア

pagetop