仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
手を繋いでるだけで心臓がハレーションを起こしている。
俺は自分の手汗に気づき、そっとエレベーターに乗り込んだ途端、手を離した。

「父と母には粗相のないよう…釘を刺されました」

「・・・そう」

「私は何も言わず、黙っていればいいんですよね…」

「え、あ…でも、訊かれた質問には答えてくれ」

「あ、はい…分かりました。頑張ります」

彼女は両手に拳を作って、気合を見せた。

「そこまで…気合入れなくても…ある程度は俺が話をしてる…」

「変な話はしてませんか?」

「してないさ」

「まぁ、二人の前では仲睦まじい所を見せるだけでいいさ」

俺はさりげなく亜優の小さな肩を抱く。ビクンと震える彼女の肩。
全身でウブな反応を返してくれる彼女に俺も過剰に反応し、心は愛しさで溢れていく。

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