仮面夫婦マリアージュ～愛のない一夜でしたが妊娠しました～

「叔父さんがそう言ってんだ…緊張しなくていいよ。リラックスだよ…亜優」

隣に座る颯真さんは私の肩を優しく叩いた。

「あ、はい…」

「まぁ、話はそれぐらいにして、まずは二人の前途を祝して乾杯しようか？」

「そうね…」

酒井さんにワインに媚薬を盛られ、お酒が飲めなくなった私と未成年の晃也君はオレンジジュース。

後の三人は冷酒で乾杯した。

「悠真から訊くと結婚披露宴は行わないそうだな…」

「まぁー・・・」


私は曰く付きの花嫁だし。
私達は偽装結婚。

結婚披露宴を行えば、世間の注目を浴びる。
次期周防家の当主に就くかもしれない颯真さん。

周防家の体面を保つ為にも入籍だけで済ませて、離婚時の傷は出来るだけ小さくしたいんだと思った。

「また…誰かと逃げられたりしたら、困るもんね。颯真さんも…」
瑞香夫人の嫌味に私は俯いてしまった。

「母さん！？」
晃也君が慌てて母親を取り成す。
「相変わらず…瑞香さんは一言多いな…」