仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
顔合わせ
それから、一週間後。
両家が『ヘブンズホテル・汐留』最上階のフレンチレストランで初顔合わせ。

父と母、弟の流伽…家族全員が久しぶりに揃った。
いかにも頭の良さそうな聡明な雰囲気の漂う弟の流伽。
流伽は母にとって自慢の息子だった。
私に顔は似ているが頭は良く、中高一貫校に通い、この四月から心臓外科医の世良先生に憧れ、東亜医科大を受験、現役合格して、周防総理のご子息・晃也君と同じキャンパスで医者になる為、必死に勉強していた。
長谷川社長との挙式をドタキャンして以来、家族の中では肩身が狭かった私。
颯真さんとの結婚で父の体面も回復。
周防総理との甥の妻と言うステイタスまで手に入れた。

「弟の流伽さんはどの分野の医者を目指しているんですか?」

「そうですね…希望は外科です」

「へぇー・・・」

美穂さんは後輩の流伽に興味津々。
二人で東亜医科大の話で盛り上がる。

颯真さんと結婚する。
それだけで、昔から私を小馬鹿にしていた流伽の態度も一転した。

私と颯真さんは家族の和やかな雰囲気を見て、共に安堵した表情を浮かべる。
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