仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
「入るぞ…母さん」
私達は美穂さんの病室を見舞った。

美穂さんは麻酔から意識が醒めていた。

「お兄様に亜優さん…」

「美穂、大丈夫か?」

「…大丈夫よ…」

「母さん…相手のオトコは誰か訊いたのか?」

「訊いても、教えてくれないのよ…」

「美穂お前な…相手は誰なんだ?」

颯真さんが強い口調で美穂さんに問いかけた。

「…誰でもいいでしょ?」

「・・・しかし…お前…異常妊娠で卵管を一つ失っているんだぞ…相手のオトコは知らないのか?」

「…お兄様には関係コトでしょ!」

美穂さんは声を張り上げた。声を大きくしたせいで、腹部に力が入ってしまったのか、激痛が走り、苦しそうに眉を顰める。


「…手術したばかりだし…今はそっとしてあげましょう。颯真」

「…そうだな…」

私達は美穂さんの病室から出た。
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