仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
美穂さんは『清友会総合病院』に転院した。

「『東亜』の中でも周防さんの相手の男性は誰なんだと言う噂が飛び交っているよ」

私達の部屋に槇村院長の弟で東亜の産科医している槇村奏弥(マキムラソウヤ)さんが夫妻で遊びに来た。
奥さんは新生児科医で名前は遥(ハルカ)さん。

「噂だと見合いが破談になった『フロンティアカンパニー』の宇佐美充斗さんらしいけど…」


「充斗か…」

「颯真さん、知っているんですか?」

「仕事で付き合いあるから…」


「へぇー…」

「それよりも一言言っていい?亜優」


「はい。どうぞ…」


「料理にレモン使い過ぎだ。酸っぱいんだけど…」

「すいません…つい」
白身魚のレモン蒸し、チキンのレモンソテー、サラダもレモンとワサビの手作りドレッシングをかけていた。

「妊娠すると酸っぱいモノが食べたくなるらしいから…此処は合わせてあげないと…颯真さん」


「でも・・・俺は…」

「そうですよ…レモンは今流行してる食材だし」

「遥さんまで…」


「実はデザートもレモンケーキで…」

「レモンケーキか…いいね…頂くよ…亜優さん」

「槇村院長とはタイプが違いますね…」

「そう?それは良く言われる…」

「レモンケーキ…ご用意しますね…」

「いいの?妊娠中なのに…そんなに動いて…君まで流産したら、大変だよ」


「亜優は休めっ!!俺が用意する!!」

槇村先生の言葉で、颯真さんは血相を変えて立ち上がり、私を強引に椅子に座らせた。



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