仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
「ありがとう…お母様」

「・・・颯真さんと行ったのね・・・」

「座って下さい…お茶を淹れます」

私は授与品の入った紙袋をカウンターに置き、キッチンの中に入ってお茶の支度をする。

母はソファに腰を下ろし、私を待って居た。

「どうぞ」

「ありがとう…亜優」

私は母の前の肘掛椅子に腰を下ろした。

やはり、母と一緒に居るとカラダが強張り、身内なのに、言え知れない緊張感を感じてしまう。

「颯真さんは長谷川さんとは違って、貴方を大切にしてくれているようね。安心したわ」

「あ…はい」

母は颯真さんと長谷川副社長を比べた。

でも、二人を比べるのは筋違いの話。
長谷川副社長との結婚は父が勝手に決めたコト。

彼自身には全く結婚の意思がなかった。
彼はそんな相手に対して優しく出来ない人なんだと思う。


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