トライアングル・ビーチ
「このたびはお買い上げありがとうございます!
たくさん着てあげてくださいね♡」

定型文のようなメッセージが印字された名刺大のカードを、わたしは1.5秒で読んでくずかごに捨てた。
出品者は取引履歴が1,000件を超えるユーザーだったから、効率を考えて大量に印刷してあるのだろう。何の味わいも感じられない。

そんなことより、中身、中身。
セロファン袋に貼られたマスキングテープを、わたしはぺりぺりと厳かに剥がした。
水着を引っぱりだす。よその家の洗剤がふわりと香る。
ほんのわずか生地がくたびれていたものの写真で見たよりかわいくて、わたしはすっかり気を良くした。
派手すぎない色合いのピンクで、背中を紐で結ぶデザインで、そして――生地の面積が、小さい。

ああ。
こんな大胆なビキニを着てわたしは来週、好きな人と海へ行くのだ。
ふたりきりではないけれど。
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