溢れる想いを青に込めて。

―そして約束の日曜日。

駅前で集合だったので混んでいると探すのが難しいと思い、なるべく早めに着けるように余裕をもって家を出る。

今日の私の格好は動きやすいように黒のガウチョにカーキ色のカットシャツ。

リツにどこに行くのか聞いた時、内緒と言われてしまった。

まさか、私の嫌いなジェットコースターがある遊園地にでも行くのか?

と色んな不安が頭をよぎっていると、見覚えのあるシルエットが見えた。

リツは黒のズボンに灰色のダボッとしたTシャツを着ていた。

背が高くて、スタイルもいいので立っているだけでも絵になっていた。

中学の時何回も2人で遊んだことはあったが、よく考えたらそれはいつもSC終わりで私服は初めてな気がする。

「リツ!ごめん、待った?」

と声をかけると、

「大丈夫。それより早く行こ!」

と半ば強引に手をひかれながら歩いた。

私も余裕をもって10分前に来たはずなのに。

リツはそれだけ浮かれているのかな、とクスクス笑いながら

「自分で歩くから手、離していいよ」

と言った。

いつまでもひっぱられているとお子様にでもなった気分だ。

するとリツは立ち止まって

「やだ」

と一言言った。

え?と聞くまもなく指を絡められ、恋人繋ぎになった。

「カナ、はぐれるだろ」

と何故かそっぽを向きながら答えた。

よく見ると耳がほんのり赤い。

恥ずかしがっているリツが少し可愛く見えた。

リツがどこに行くのか分からないのでそのまま大人しくついて行くと、見覚えのある場所にたどりついた。

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