具現化アプリ
☆☆☆

小学校の6年間は、あたしは目立たない生徒だった。


仲のいい子は何人かいたけれど、輪の中心になることなんて1度もなかった。


なにをして遊ぶか考えるときだって、みんなの意見に便乗してばかりだった。


スポーツは苦手なのに、縄跳びをしようと言われればやったし、ドッジボールをしようと言われればいやいや参加した。


本当は小説や漫画が好きで、休憩時間にはお絵かきをしていたかった。


でも、それは言えない。


あたしが意見なんてしたら、きっとこの場の空気が壊れてしまう。


そんな風に思っていた。


自分はみんなの影みたいな存在だ。


そう思い始めた時だった。


『ミキコちゃんって暗いよね』


トイレで、友人たちがそんな話をしているのを、偶然聞いてしまったのだ。
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