クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
***

 美由紀には学生時代から付き合っている恋人がいる。

「え? 結婚! おめでとう美由紀~」

「ありがとう紫織」

 相手は紫織もよく知っていたが、実は先月、美由紀は正式にプロポーズをされていた。
 そして結婚に向けての具体的な話が決まってきていたのだが、紫織がちょうど転職やらで大変な時期だったので、話を切り出すタイミングを見つけられずにいたのだ。

 美由紀の恋人はすぐにでも入籍して、一緒に住みたいと言っていたし、それについては親も了承済みなのである。

 でもそうするには問題があった。
 彼の元に行くとなると、この部屋に残る紫織は家賃全額負担するか、別の同居人を見つけるか、もしくはどこかに引っ越しをしなければいけなくなる。

「え? 先に入籍して住むの?」

「うんそうなの。それでね、紫織。部屋なんだけど、彼の友人にマンションの空き部屋を持っている人がいてね。女性のひとり暮らしならそれほど部屋を汚すことはないだろうし、無償で貸していいっていう人がいるのよ」

「え? タダで?」
「そう、タダでいいんだって」

 紫織にとって、その話はあまりにも突然だった。
 結婚に引っ越しの話。
 引っ越しの話にはさすがに動揺した。でもマンションの話を聞いて、ふと気づいた。それだけ急な告白になった理由は、彼女の思いやりに違いないということに。
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