眠れない夜は、きみの声が聴きたくて


結局、私は旭がいないのなら意味はないとクラス会には出席しなかった。行けなかったことは残念ではないし、旭が来なかったことも怒ってない。

ただ、心配はしている。

本当は旭の身になにかあったのではないかと考えてしまう。

彼からどんな話をされるのかは想像もつかないけれど、私はすぐに【いいよ】と返事をした。予定では今夜八時に電話がかかってくる。


「マキちゃんが付けてるこのリップ超可愛い!」

友達たちは話題を変えて、また動画を食い入るように視聴していた。

……マキちゃん。早坂さん。

本当に可愛い人だった。あんな子が近くにいたら、男子は間違いなく好きになると思う。

旭は……どうなのかな。きっとあの子は旭のことが好きだ。じゃなかったらわざわざ彼の代わりに私に会いに来たりはしないだろうし、言葉の隙間から隠すことのない嫉妬心が見えていた。

――『ねえ、あんたって旭のことどう思ってるの?』

私はなんにも言えなかった。

あの日だってそうだ。私はなにも言葉にしないまま、平気なふりをしてただけ。

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