Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
謎のオトコ
風も絶え蒸し暑かった夜も九月になると幾分和らぎ、過ごしやすくなっていた。

「一ヵ月振りだな…睦月」

私と千里さんは六本木のレストランバーで落ち合う。
私の住むマンションから六本木の交差点を渡り、路地に入った所にある隠れ家的な店。
カウンター席、ソファ席。奥のVIPルームにはカラオケも完備されていた。

私達はソファ席に腰を下ろし、久しぶりの再会に乾杯し、バー自慢のタコライスを食べる。


「お前…妙な若い男に見張られているぞ」
お手洗いから戻って来た千里さんが私に耳打ちした。
「えっ?」

「さっき、トイレに行った時、軽井沢旅行の時にも俺達について回っていた男がこの店に居たんだ」

「誰?」

「こっちが訊きたい…誰を見てるんのかと不思議に思ってたけど…どうやらお前みたいだな」

「何処に座ってる??」

「カウンター席に一番端だ…黒いサングラスを着けているから…すぐに分かる」

私はソファから腰を上げて見に行こうとうすると千里さんは止めた。

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