Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
戻れない過去
全てを知ったからと言って、元の鞘に戻れるとも思っていない。
小さめのバンケットルームを貸し切り、久しぶりの四人でお喋りしながらシャンパンで乾杯。
オーダーした料理を待っていた。

「もう十月だな…」

千里さんそう言うと豊が「そうだな…今年も後二ヵ月で終わりだな」と返した。

「クリスマスはどうするんだ?豊」

「クリスマス?さすがにクリスマスのコトはまだ何も考えていませんよ…」

私と摩弥さんは並んでソファに腰を下ろし、グラスのシャンパンを飲んでいた。

黒服のボーイが銀色のトレイにオーダーした料理を運んで来た。

「!?」

その背後には柊さんが姿を現した。
彼の右手には銃が握りしめられていた。

「皆、コイツは銃を隠し持ってる!!早く逃げるんだ!!!」

柊さんの大声で私達四人が騒然とした。

「チッ」

ボーイは床にトレイをガシャンと落とし、隠し持っていた銃の先端を柊さんに向ける。

私達がソファから腰を上げるとボーイは私達に向けて銃口を向け、引き金を引いた。

「危ない!!」

摩弥さんが私を突き倒して庇う。

「亜久里!!?」

私の護衛の早乙女さんが部屋に入って来て、柊さんを援護して、ボーイを取り押さえた。



< 117 / 249 >

この作品をシェア

pagetop