Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
打ち上げを終え、バンケットルームから出て行くと豊が座っていたソファ椅子には別の男性が座っていた。

「先生に会いたいと言っていた男性はどなただったんですか?」
山城さんもほろ酔いで目が少し座っていた。
「元夫…」

「えっ?じゃ神楽坂豊さんですか??」

「そうよ…シンガポールから最近戻って来たみたい…」

******

私はタクシーで六本木のタワーマンションまで向かった。
仕事が軌道に乗ってからは松涛の実家を出てマンションで一人暮らし。

「空、ママのお帰りよ…」

私はソファにおいたテディベアのぬいぐるみに話し掛けた。

空にプレゼントだと豊が買って来たテディベアのぬいぐるみ。
ぬいぐるみの首許には私が初めて作った手縫いのブルーのステイがついていた。
そのステイは空が着けるはずだったモノ。
でも、その空は私達よりも先に逝ってしまった。

私はリビングルームのローボードの一角にフォトスタンドを並べていた。
豊とのウエディングフォトにハネムーンフォト、そして、空と親子三人で撮ったフォトを並べていた。

「空…今日ね…パパに久しぶりに会ったよ…」
私はソファに腰を下ろすとテディベアを抱っこして逝ってしまった空に語り掛けた。

四年前とは違い、少し豊も大人っぽくなっていた。

「私…今でも豊がスキ…」
互いに初恋相手で、キスもHもそうだった。
初めてのキスで互いに歯が当たってしまい苦笑した。
初めの時も豊の動きが凄くぎこちなかった。

お互いに笑い飛ばしちゃって…今では初々しいカップルの淡い思い出になっている。

オトナになり、授かり婚して、子供だった私達がパパとママになるんだ、しっかりしないと言ってる矢先に一度目の流産。

楽しいコトばかり想像していたから、辛いコトが余計に辛く感じてしまった。



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