Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
私と豊は一階の無人の待合に場所を移し、ソファに腰を下ろした。

「摩弥が負傷したのは俺の責任だ…柊さんの忠告を訊きながらも、俺は油断した」

「豊・・・」

「摩弥は俺が雇った代行の恋人役だ・・・俺は睦月に嘘をつき続けていた」

「私だって同じよ・・・千里さんと付き合ってるのは嘘」

「千里さんから全部訊いた…」

「…私、全部知ってるの…豊が離婚を切り出したのはお母さんに頼まれたからだと…ワザと自分を悪役にしたのは私達家族に対する気遣いだって…」


「そっか・・・」


豊は私の顔を一瞥して嘆息する。


「・・・同じマンションの同じフロアの部屋に住んだのは私を『王龍』から護る為でしょ?豊」


「・・・そうだ・・・俺は睦月は護れたけど…摩弥は護れなかった」

「豊・・・」

「睦月…お前は帰っていいぞ…摩弥のコトは俺が看るから…」

「でも・・・」

「…神楽坂家とは何の所縁もない彼女にこんな傷を負わせた…彼女がこの傷で…カラダが不自由になるコトがあれば…俺は責任を取り、彼女の面倒を一生見るつもりだ。睦月」

「それは摩弥さんと結婚すると言うコト?」

「そうだな・・・」

「豊・・・」

「・・・今まで摩弥との仲はフェイクだったかもしれないけど…これからが本物だ・・・」

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