Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
恋の芽生え
摩弥さんは順調に回復して、今はVIP病棟の病室に入院していた。
逮捕されたボーイのオトコは獄中で自殺。
相手の目星は付いているんだけど、証拠がなく、暗礁に乗り上げていた。
引き続き、早乙女さんは私の護衛に付き、共に病院を訪れた。

「睦月です」

ドアを開けたのは柊さんだった。

「どうぞ、入って下さい…神楽坂先生」

「柊さん、いらしゃっていたんですか?」

「彼女は俺の部下なので…」

柊さんは私を中に案内してくれた。

摩弥さんはカラダを起こして、一口サイズに切られたリンゴをフォークで突き刺し、口に運んでいた。

「睦月さん…」

「具合はどう?摩弥さん」

「大丈夫よ…」
でも、負傷した左腕は垂れ下がったまま動いでいなかった。

「でも、左腕が・・・」

「銃創による腕神経叢損傷で今は動かせないみたい…でも、リハビリすれば…大丈夫よ・・・」

摩弥さんは心配する私を気遣い、明るく微笑んだ。

彼女はフォークで突き刺そうとしたけどリンゴはぽろりと皿からテーブルに落ちてしまった。

「ほら」

柊さんが彼女のフォークを奪い、皿のリンゴを突き刺し、口許に運んだ。

「ありがとう…柊マネジャー」



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