Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
私はカフェラテ、彼はブラックをオーダーした。
「摩弥さんと柊さん、結婚するかもしれないわよ」

「ふうん」
と相槌を打ち、ブラックを口に含む。

「豊…私…今でも貴方のことがスキなの…できれば、よりを戻したいと思っている」

豊は黙っていた。

「豊…貴方だって…」

「よりを戻せば、お前はまた『神楽坂家』の後継者問題で悩むし、傷つく」

「豊…」

「俺はそんなお前を見たくない…」

豊は悲痛に顔を歪ませ、訴えた。

その表情から垣間見える私への愛。

「…『不育症』でも治療すれば…子供を授かれる…今度は逃げない…自分の病を向き合って…貴方の子供を産んで見せるわ…だから…豊」

「・・・俺はお前が壊れる様はもう見たくない…だから…俺以外のオトコをスキになってくれ・・・睦月」

「豊・・・!?」

「頼む…」

豊は私に頭を下げた。

「豊は…私以外の女をスキになれるの?」

豊は頭を上げて、全面硝子の向こうに広がる昼間の街を見つめた。
私も豊と同じ風景を見つめる。
林立する高層ビルが切り取った秋晴れの空。
同じ風景を見ていても、私達は背中合わせで、別々の方向を見ていた。





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