Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
亡き我が子の命日
桜が散り、新緑の五月も過ぎ、梅雨の六月が来る。
六月十五日が空の誕生日であり、命日。

空は都内にある神楽坂家の菩提寺に埋葬された。

私は毎年十五日は母と共に墓を訪れた。

「豊君、元気そうね…安心したわ…」

西苑寺莉真(サイエンジリマ)
兄と私を出産後、料理研究家として活躍。
NHKの夜の九時から放送されている『料理百科』のイタリア料理担当講師として、テレビ出演。
料理本も数多く出版している。

「お母さんも豊に会ったの?」

「えぇ―隠してたけど…幕張レオンで料理講習会したの…その時、偶然に豊君が視察に来てたの」

「へぇー…」

そんな話を交わしながら、井戸の水をバケツに汲んだ。

「今も変わらず、そのロケットペンダント着けてるのね…」

「まぁね」

ロケットペンダントの中のカプセルには空の骨が入っていた。
このペンダントは豊のプレゼント。
空が確かにこの世界に存在していた証。
豊の中では空は死んでしまっているけど、私の中では今でも生きている。

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