君と一緒なら



 今、通学している最中。

 家を出て駅へ向かって歩いているところ。


 歩いてはいるのだけど。
 そのスピードがものすごく遅い。

 今日、学校で過ごすことを考えると。
 気持ちがとても重く、心が締め付けられる。

 そして身体も。
 足だけではなく。
 全身に広がるように、だんだんと動かなくなってくる。

 まるで全身に鉛を付けられたみたいに。

 全身、鉛で支配されている足どりは。
 いつもとは違い。
 一歩一歩がとても重く。
 なかなか前へ進むことができない。

 私の周りを歩いている人たちが。
 どんどん私のことを追い越していく。

 それでも今の私は。
 歩く速度を早めることはできなかった。



 ……学校……行きたくない……。
 学校……休みたい……。

 無理に歩いている私の頭の中は。
 そのことでいっぱいだった。


 一人で教室の中で過ごす……。

 それは……。
 できるだけ避けたいこと。

 だって……。
 そうじゃないと……。

 思い出してしまう……。
 あの日のことを……。



 ……このまま。
 どこかに逃げてしまおうか……。



「あぶない‼」


 ……⁉

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