君と一緒なら



 私の気持ち……。


 もう気付いている。
 自分の気持ちに。



 黒川さんのことがあったあのとき、自分の気持ちに気付いた。


 だけど。

 真宙くんを目の前に。
 自分の気持ちを伝えることは。
 ものすごく恥ずかしい。


 けれど。
 伝えなければ。

 だから。


「……あの……」


 真宙くんに。


「……私も……」


 気持ちを。


「……真宙くんの……ことが……」


 伝えたい……‼


「……好き……です……」


 真宙くんに想いを打ち明けた瞬間。
 それに合わせるように、やさしく潮風が吹いた。

 その風が私と真宙くんのことをやさしく包み込んだ。


「……希空ちゃん……」


 真宙くん……。


「やったぁ‼」


 ……‼

 まっ……真宙くん……っ。


「希空ちゃーんっ‼」


 真宙くんは思いきり私を抱きしめた。


「まっ……真宙くんっ」


 真宙くんに抱きしめられて心臓がどうにかなってしまいそうなくらいにドキドキしていた。


「ありがとう、希空ちゃん。これからもよろしくね」


「わ……私の方こそ、ありがとう。こちらこそ、これからもよろしくね」


 通じ合えた。
 想いが。
 真宙くんと。

 そのことが。
 とても嬉しくて幸せな気持ちになった。


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