優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~【リニューアル版】
『お願いだから私の前から消えて!智華ちゃんにはあなたからキチンと話して。彼女が絶対に傷つかないように、デリカシー持って話してあげて。もう…私達は…完全に終わり。すぐにここから出ていって』


旦那は黙っていた。


こんな私を見るのは初めてだったのかも知れない。


私だって…


ちゃんと言えるんだよ、自分の気持ち。


後日、私は旦那から離婚届を受け取った。


あらかじめ渡していた物にサインして。


ジュエリーボックスにしまい込んでた結婚指輪も…


やっと捨てた。


そう、私。


旦那への全ての思いを断ち切れたんだ。


少ししかない良い思い出も…全部。


ようやく、吹っ切れた。


旦那が1人で出ていってから、すぐに智華ちゃんも実家に帰ってしまった。


ご両親から1年分頂いてたお金も残りは返した。


燃え上がるような恋をして、すぐにフラれて…


智華ちゃんは、ニガい大人の恋を…経験したんだよね。


そうして、また女として強くなっていく…


智華ちゃんなら、きっと、もっともっと素敵な人に巡り会える。


必ず幸せになれるから。


あんな人と結ばれなくて、早く縁を切れて本当に良かったんだよ。


何もしてあげられなくて、ごめんね。


最後に泣きながら言ってくれた言葉。


「大家さん…ごめんなさい。ありがとうございました」


智華ちゃん、初めて大家さんって言ってくれたんだ。


嬉しかったよ…すごく。


私、絶対に忘れない、智華ちゃんのこと。


こちらこそ、ありがとう。
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