優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~【リニューアル版】
『えっ、ああ、ごめんなさい』


確かに大人気ないかも知れないけど、だけど…


このクッキーは他の人には食べてほしくなかったから。


『食べられたくなかったらどこかに隠しておいて下さいよ~』


ひなこちゃんは、少しあきれたようにまた笑った。


『クッキーが食べたいわけじゃないの。他のなら食べてもらってもいいんだけど…』


『いやだ、大家さん。そんな意地悪言わないで下さい』


ひなこちゃんには、文都君からもらったなんて言えなかった。


それに…いつまでも大家さんって呼ばれてることが、何だか急に寂しくなった。


私、やっぱり嫌われてるのかな?


ひなこちゃんのお母さん代わりには、まだまだ全然なれそうにない。


『そんなに食べたいなら、クッキー返します。おばさんになると意地汚くなるんですね。私、部屋に戻ります』


ひなこちゃん…


いつからか、私に対しての言葉がキツくなってる。


クッキーを置いていたのが悪い、そう言い聞かせ、私は思わず大きなため息をついてしまった。
< 72 / 204 >

この作品をシェア

pagetop