行き着く先は・・

••そういう事だと


希空は、心臓がバクバクしていた。

奥様と言ったのに
悠人さんは、何も言わなかった。

やはり、そういう事だよね。
と、思っていると
「希空、どういう事?」
と、正樹に言われて
全てを正直に話した。

隠したり、取り繕うと面倒だと思い。

正樹は、
「あの人、希空の婚約者?
で、一緒にいたのは元嫁?
なんで、一緒にいるの?
希空知らなかったよね
一緒にいるのを。
それに、希空が奥様だと
俺に紹介したときも
否定もしなかった。
なんなの?どうなってるの?」
と、怒りながら言う正樹に
「よくわからないけど。
そういう事だと思うよ。
もう、結婚するつもりもない
向こうも同じ気持ちだと思うよ、きっと。」
と、なげやりに返すと
「平気なの?それで。」
と、言われて
「平気なはず····ない····
元の奥さんの事が····大事なら···
私に···近づいて·····ほしく····なかった···」
と、泣く私を正樹は
抱き締めてくれた。

正樹の優しさに
すがってはいけないと
思いながら、涙が止まらなかった。

しばらくして
「ごめんね、正樹を巻き込んで。
遅くなってごめん。
彼女、心配するから
早く帰ろう。」
と、言う私に
「俺、彼女いないよ。
希空とあんな風に終わって
先に進めなかった。」
「えっ、前に正樹が
可愛い女の子と一緒にいるのみたよ。」
と、話すと
「う~ん、誰の事を言っているのか
わからないけど
あれから、恋人を作った事もないよ
あっ、もちろんセフレとか嫁もね。」
と、言うから思わず笑ってしまった。

「希空、あの時は本当にごめんね
自分に余裕がまったくなくて
希空を思いやる気持ちもなかった。」
「そんなの私も同じだよ。
自分の仕事覚えるのが必死で。
私もごめんなさい。
お互い、あの時から
止まっていたんだね。
本当、ごめん。」
「俺、あの日、久しぶりに
希空を見かけて声をかけた日
すごい可愛い子がいるな
と、めっちゃドキドキしたんだ。
それが希空で、自分でも
驚いたんだ。
俺、やっぱり希空が好きだ。
俺ともう一度、やり直して貰えませんか?」
と、言われて
「正樹、ごめん。
まだ、きちんとしてないから
今は、返事もきちんと出来ない。」
「そうだね。わかった、待つよ。
また、連絡する。
今日は、送るね。」
と、言ってくれたから
ひかりのマンションまで
送ってもらった。
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