行き着く先は・・

••二人で、もう一度


悠人は、いすずの回復を待って
全てを話した。

何も知らなかった
いすずは、希空を思い涙を流した。

自分が、悠人に甘えなければ···と
悠人は、希空の事を確かに
愛していた。

いくらバカな俺でも
愛しもしない女性に
指輪を贈り、式場まで抑えるなんて
あり得ない。

だが、自分の奥底には、
いすずへの気持ちが残っていたんだと
話した。

俺の願いも注意も無視して
我が子をなくしたときは
腹が立つより
がっかりしたんだ。

いすずにとって
俺といすずの間に出来た子より
仕事が大事なんだと。
でも、お母さんに聞いた
あの時のその後を···

「いすず、もう一度
やり直してみないか?
あれから、俺も成長しているつもりだ。
あ~、可愛くて優秀な部下を傷つけて
しまったが。」
と、言うと

いすずは、
「自分の愚かさを嘆いてきたの。
希空さんには、本当に申し訳ないと
思う····けど····ごめんなさい·····
もう一度だけ、私を愛してほしい。」
と、言ってくれた。

いすずのご両親には
許可を頂いた。
「今度こそ、二人で幸せになります。」と。

俺の両親には
前回少し話をしていたが
いすずと挨拶に行くと
前回無言だった父親から
いすずの前だが
殴られ、お袋は涙を流していた。

「人様の大切なお嬢さんを巻き込んで
お前は何をやってるんだ。
良い年をした男が
いくら仕事ができても
何にもならん
人を···人を···傷つけたら
どうにもならなんだろ!
それに、あんたもあんただ。」
と、二人を責めた。

いすずも、一緒になって
両親に詫びてくれた。

俺は、いすずの頭の手術から
今に至るまで、全てを両親に
話したが······

「そんなに簡単に
結婚相手を変える奴に
ついていけない。」
と、言われた。

直ぐには、納得もできないと思う。
両親は、希空を気にいっていたから。

だが、悠人といすずは
一緒に歩いて行くと決めたから
二人で乗り越えて行くしかない。

悠人は、工場への左遷だが
いちから必死にやるつもりだ。

希空が大好きな会社を
離れるまでに追い詰めた事を
決して忘れない。

これからは、二人で力を合わせて
頑張って行く、その為に
二人で住むマンションを借りたのだと
見せると
いすずは、涙を流しながら
喜んでくれた。

これも、希空が教えてくれた。

俺は、いすずと離婚して
二人が暮らしていたマンションを出て
独身の時に住んでいたマンションに
空きがあったから
会社に近い事もあり
そこを借りて住んでいた。

それを指摘されるまで
なんとも思っていなかった。
だから、今度は何も関係物件を選んだ。

いすずからは、
「悠人は、どこかずれてるところ
あるからね。」
と、笑われてしまった。

きっと、いすずは、
希空の事、俺の両親の事を
気にしていると思う

だから、二人で話して
今すぐ籍をいれずに
少しずつ、進んでいこう
となった。
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