茉莉花の花嫁
そんなある夜のことだった。

寝酒をしながら本を読んでいたら、玄関のベルが鳴った。

「こんな時間に…一体、誰なんだ?」

清瀬は読んでいた本にしおりを挟むと、椅子から腰をあげた。

自室を出て玄関へと足を向かわせると、
「はい」

ドアを開けた。

「こんばんは」

そこに立っていたのは、1人の老人だった。

かぶっている帽子や服は汚れていてボロボロだった。

老人の躰から漂っている悪臭に、清瀬は顔をしかめた。

何日間か風呂に入っていないのだろうか?

(そもそも、こんな時間に何で老人が…?)

清瀬は首を傾げたが、
「何の用だ?」
と、老人に声をかけた。

「道に迷ってしまって家に帰ることができなくなってしまいましたので、一晩だけ泊めてくれないでしょうか?」

老人は言った。
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