茉莉花の花嫁
目を開けた時、朝を迎えていた。

躰を起こした瞬間、ズキリと背中に痛みが走った。

昨日の夜に起こったその出来事は、夢じゃなかった。

ズキズキとしたその痛みを感じながら、清瀬は風呂場へと足を向かわせた。

服を脱いで鏡で背中を確認すると、
「なっ、何だこれは…!?」

清瀬は震えた。

背中いっぱいに、黒百合の焼き印があった。

まるで背中に黒百合が咲いているようだと、清瀬は思った。

「これが、“呪い”か…」

自分にかけられたその呪いに、清瀬は両手で頭を抱えた。

「――“茉莉花の花嫁”…」

自分にかけられたその“呪い”を解いてくれると言うその女は、どこにいるのだろうか?

「だけども、俺は死ぬんだな…」

自分に置かれたその運命に、清瀬はどうすることもできなかった。
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