茉莉花の花嫁
清瀬は倒れていた。

その姿を見た茉莉花の目から、涙がこぼれ落ちた。

「――清瀬、さん…」

茉莉花はその場に座ると、倒れている彼を抱えあげた。

背中に刻まれた黒百合が痛い…だけども、自分の名前を呼んだその声を聞いて、清瀬は閉じていた目を開けた。

自分の視界に入ってきたのは、涙を流して泣いている茉莉花の顔だった。

「――お前…」

どうして茉莉花がここにいるのか、わからなかった。

「――お前、あの男と…」

呟くように聞いてきた清瀬に、茉莉花は首を横に振った。

「彼とはもう2度と会いませんし、復縁するつもりもありません。

私は、あなたが好きなんです。

あなたと一緒にいたいんです。

あなたと過ごす時間が短くてもいいから、私はあなたのそばにいたいんです」

茉莉花は言った。
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