茉莉花の花嫁
「はい…」

返事をした茉莉花に、清瀬は微笑んだ。

清瀬は躰を起こすと、
「いきなりで悪いけど、抱きしめていいか?」
と、茉莉花に聞いた。

そのことに茉莉花は少しだけ驚いたようだが、
「いいですよ」
と、返事をしてくれた。

清瀬は茉莉花を抱きしめた。

(温かい…)

茉莉花は清瀬の背中に自分の両手を回した。

清瀬の躰から聞こえる鼓動に、茉莉花は耳をすませた。

生きている、清瀬は生きている…。

そのことに対して、茉莉花は涙を流した。

「茉莉花」

清瀬に名前を呼ばれて、茉莉花は彼の顔を見た。

一緒に微笑みあうと、清瀬の顔が近づいてきた。

茉莉花はそっと目を閉じて、彼を待った。

お互いの唇が触れたその瞬間、茉莉花は幸せな気持ちに包まれた。
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