中学生作家
少年は歩く

ふと、窓の外を見た。
大きな雲が、雄大に歩いていた。
雲は風によって動かされる。
しかし、雲は自分の意思で動いているのだと、今川は信じていた。
そして彼は、この空間に広がる雲すべてを、一つの塊と認識している。
彼にとっての雲は、この広い空なのだ。

なぜ僕はこんなに小さな体で、小さい世界に住んでいて、小さい事で満足し、小さい事をいちいち気にして、一喜一憂しているのだろうか。
そう思うと、学校や出版社、にとどまらず、国というものの存在意義が無いように思えてくる。
戦争をするぐらいなら、国そのものを、なくした方がよい。
だが。
闘争は人間の本能だ。
国を無くしたとしても、何一つ変わる事はあるまい。
すると今川は、手に握っている筆が止まっている事にやっと気がついた。今のは、現実逃避だ。
そんな事をしている暇はない。
だが、執筆という作業の特性上、どうしても考えなければならない。
考えれば、筆が止まる。

もはや、彼の集中力は切れていた。
一度やる気をなくすと、三時間は何もできなくなる。
三時間経つと、彼は何かをまた始める。
しかし、ほとんどの場合執筆の後は本屋内散策だ。
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