【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

受付で押し問答。

それを怪しい目で見つめる保護者の方々はIDを見せて、悠々自適に校内の中に入って行く。
有名私立小学校だからだろうか…。行き交う保護者の方たちも心なしか皆お上品に見える。

高そうな洋服を着て、ブランドのバックとブランドのアクセサリー。綺麗に化粧を施していて。

私は午前中に仕事を終わらせて来たから、肩出しのカットソーと短いデニムのスカート。…明らかに場違いで怪しいと思われても仕方がない。

「こ、困ります!」

無理やり押し入ろうとしたら、警備員2人に取り押さえられて外へ出されてしまう。

はぁーーーーーーー。…これじゃあ何の為に来たのか分かったもんじゃない…!


どうにかして校内に入ろうと、正門は諦めた。 裏口に回りそびえ立つ立派な校門にジャンプをしてよじのぼる。

絶対に入ってやるんだから!

「パンツが丸見えだ。本当に馬鹿なのか?君は」

聞きなれた甘い低音の声が響く。下を向いた瞬間校門の石段から手が離れ、落ちそうになると

「ぎゃ!」

両手でその体をキャッチされて甘い香りが鼻を擽って行く。

「樹くん!」

こ、これはお姫様抱っこ。思わず樹くんの胸に顔を埋めて眼を閉じると

ゆっくりとその場に下ろされた。 えぇー?!もうちっとこの余韻に浸っていたい所なのだけど。そんな直ぐに下ろさなくたって…。

というか、何故ここに樹くんが?

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